エルシニア菌とは

突然の腹痛に思い当たる原因はいくつかあるものの、食中毒というのはなかなかないと思います。
本サイトでは食中毒の原因となるエルシニア菌感染症についてご紹介していきます。

エルシニア菌

画像参照:国立感染症研究所

エルシニア菌は、腸内細菌に分類される菌であり、これを含んだ食物を食べることで感染してしまいます。中でも、腹痛などの激しい症状を呈することで知られており、かなり体力を奪われる病原菌でもありますから、特に食事の加工などでは注意が必要です。

エルシニア菌の歴史

エルシニア菌が日本ではじめて確認されたのは1972年の研究で、腸炎の患者からの検出が最初です。その後、他の食中毒を発症する菌の仲間として、正式に厚生労働省によって加えられました。大規模な食中毒としては、給食を食べた児童が腹痛、嘔吐、下痢といった激しい症状を示した沖縄でのものが記憶に新しいでしょう。

これまで感染の原因がいま一つはっきりしていなかったエルシニア菌ですが、加工した牛乳の中から検出されたこともあり、生肉や乳、汚染水(井戸水)といったものから感染の可能性が指摘されています。













エルシニア菌は海外でも発生している

チョコレートミルクエルシニア菌が繁殖しているのは日本だけではありません。ニューヨークの学校ではチョコレートミルクによる食中毒が起こっていますし、カナダでも小学校での集団発生がみられます。私たちが住む日本は先進国と言われていますが、同じ先進国の中でもこうした事例がいくつも挙がるということは、決して日常生活で劣悪な環境でしか感染しないものではなく、普段の生活の中でも充分に感染する可能性があることを意味しています。日本の食品は安全だからと安心せず、海外からの輸入品などもありますから、慎重に取り扱うようにしましょう。

エルシニア菌の特徴とは

エルシニア菌の怖いところは、低温でも増殖してしまうということです。通常の細菌は10度以下になると活性が低下してしまうので、増殖もなく感染力も小さいものといえます。しかし、エルシニア菌においては0-5度という超低温の環境でも増殖するという研究結果が出ており、肉や魚など生ものを口にする機会のある私たちにとっては脅威であるといえます。この特徴は、冷蔵庫の中でもエルシニア菌が死滅せず、口に入るまで生きながらえている可能性があるということに他なりませんから、清潔で安全に加工されたものを選択し、できるだけ新しいうちに食べる努力が必要となってくるでしょう。

冷蔵庫
低温でも死滅せず増殖するエルシニア菌は怖いですね。普段、ちょっと腐っていても食べてしまったり、拾い食いなどがみられることもありますが、特に小さな子どもにとっては大きなリスクとなります。お弁当の食材の加工もしっかりと火を通して安全に努めたいですね。