輸血で感染の事例まとめ

急な交通事故や傷害などで出血がひどい場合、医療機関では輸血を行います。ここでは、輸血による感染の事例についてご紹介していきます。

輸血でエイズに感染した事例

2013年に厚生労働省は、献血者の中にエイズのキャリアが存在しており、その方の血液が誤まって60代の男性に感染してしまったことを報告しています。輸血通常献血をして採取した血液はその方の名前と番号で管理され、全ての血液が検査されます。検査は血清学的検査と核酸増幅検査とよばれる2種類の検査を採用しており、身体の中にエイズを発症するウィルスHIVに対する抗体がないかを調べていきます。ところが、この検査でも感染から6週間ほどはHIVはごく微量であるため検出されないことがわかっています。この期間をウィンドウピリオドと呼んでいるのですが、偶然この期間に献血をし、すり抜けてしまった場合には、あってはいけないことですが健康な人の身体に輸血としてHIVが入り、感染してしまう恐れがあるということです。これを防ぐため、献血をする際には事前の問診で、不特定多数の性交渉がないか、または薬物の針を使いまわしたりしていないかなどを細かく調べます。最低でも6ヶ月以内にこうした行為があった場合には献血を断ることで、リスクが回避されるようになりました。








輸血からHBV、HCVに感染した事例

日本赤十字社が報告する事例によると、毎年保管している検体の中で保管していた検体からB型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルスなどが検出される事例が報告されており、これによってHBV、HCVの保菌者となってしまう事例が数件報告されていました。こうした事例も、ウィンドウピリオドにより、後から報告されることが多く、献血者が自分自身で申告しない場合には、同定が難しい可能性があります。

輸血でエルシニア菌も感染

輸血によって感染するのは、何もウィルスだけではありません。エルシニア菌の保菌者が献血をした場合も同様の感染リスクが考えられるということです。実際に平成15年には1件、平成18年には2件の感染事例が報告されている現状があるほか、血液から造られた血液製剤からも感染の事例が確認されることもありました。ウィルスと同様に、食中毒にかかった既往がある場合には、献血の際にその旨をしっかりと報告する必要があるということです。

まとめ

輸血感染防止リボン
輸血によってウィルス感染だけでなく、エルシニア菌をはじめとする細菌にも感染することがあるなんて、とても怖いですね。これを防ぐためには、検査の技術を向上することもありますが、何よりも潜伏期間がありますから、私たち一人ひとりが自分のかかった疾患を理解し、正しく行動することが求められますね。